GUP-py作品展「空から、そしてまた空へ」
【Live-I】2010-5-24 (Mon) → 2010-5-29 (Sat)
12:00〜19:30(最終日17:30まで)
展示作品:ビデオ、オブジェ、ドローイング
GUP-pyのシリーズ作品「旅行犬」では、人を旅に連れ出すための職業犬「旅行犬」が作品テーマとなる。「旅行犬」とは旅に出たいという私たちの願望の象徴である。旅行犬は目には見えないが、その存在は旅行犬が呼吸するために必要となる空気穴によって暗示される。「旅行犬」のモノクロのグラフィカルな作品にて、空気穴は小さな黒い丸の形で表現されるが、「穴」が実際の穴であることもあれば描かれた穴の絵であることもあり、2次元と3次元の入り混じっただまし絵的な視覚効果をもつ。
今回のLIVEでの展覧会「空から、そしてまた空へ」では、旅行犬は飛行機で運ばれる旅行者の荷物に身をやつしている。空港には、世界のさまざまな場所から、さまざまな人々に付き添って旅行犬たちが集まって来る。毎日空港では旅行犬たちの大集会が繰りひろげられる。仲間同士のつかの間の楽しみの後、犬たちは飼い主に呼び戻されてふたたび各地に散ってゆく。
旅行カバンの旅行犬は、飼い主の旅行目的や旅行期間などに応じて、その都度新たに構成される。歯磨き粉、保湿クリーム、替えの服、ビニール袋、筆記具……。旅が終わると旅行犬は解体され、構成していたモノたちは日常生活のいつものポジションにつく。旅行犬の皮につつまれて空港で会していたのは、世界中から集まった日常の断片だったのだ。空港に同じ旅行犬たちが勢揃いすることが2度とないように、同じ旅行犬は2度と存在しない。この次に飼い主が空の旅に出る時には別の旅行犬が誕生する。
この空飛ぶ旅行犬について物語るビデオ作品の舞台となるのは、数年来閉鎖されているベルリンのテンペルホーフ空港や、ベルリンの日常空間である。ミニマリスティックな空気穴によって表現される旅行犬の造形は、外国の空からベルリンにやって来て、ベルリンの光景に重なり合ったのち、再びベルリンの空へと消えてゆく。
作家プロフィール
1995年よりベルリンを拠点として制作活動を続ける日本人アーティストグループGUP-py(読み:グッピー)は、ビデオ・プリントメディア・タイポグラフィー・空間インスタレーション等の複合メディアを用いた表現法を展開する。1999年の第3回アート公募(Art Exchange Society企画)における準大賞の受賞をきっかけに、モリス画廊、exhibit Liveにおいて定期的に発表を続ける傍ら、ドイツを初めヨーロッパ各地の展覧会・映像フェスティバルへも参加している。
GUP-pyのウェブサイト:www.gup-py.com