-New Painting in Bathroom- 類家俊明 個展


【Live-I】2009-4-13 (Mon) → 2009-4-25 (Sat) ※日祝は休廊です。

- Bathroomから、はかないものたちへのオマージュ - (類家俊明展覧会に寄せて)
exhibit Live&Moris gallery代表/森邦彦

この展覧会は、作家・類家俊明の日本国内における初個展にして、類家が独自に展開する「New Painting in Bathroom」という手法の発生から確立するに至るまでを追った、記念すべき展覧会である。

類家の用いる手法「New Painting in Bathroom」とは字面通り、バスルームにてペインティングを行うことであるが、特徴的なのは、浴壁や陶器の流し台へ水彩絵具等で描画するということである。すると当然、描かれたものは水に流れ、あとには残らない。実のところ、作家がバスルームに入って、出てくるまでの間にしか作品は存在せず、他者はそれを目にすることはない。「New Painting in Bathroom」とは、水とともにかたちづくられ消えていくという、描画を繰り返す行為であり、またその行為の記録である。


作家は近年、インド、シリア、イランなどに渡りこの活動を続けている。
何度も海外へ行き来し、自己のアイデンティティを問う中で生まれた手法だと作家は言う。痕跡をとどめずに消えてゆく作品群に、アイデンティティを求めるのは愚かしいと見る向きもあるだろうが、作家はその危うさ・はかなさに真正面から向き合い、己の本質を知る。

「万物ははかない。はかない恋、はかない命…芸術家の作品さえもはかない」


作家・類家俊明はそのはかなさの中に、何を記そうとしたのか。その足跡がピエゾグラフによって再現される。